解説

海外の映画祭で感動と喝采の嵐──日本の家族の愛に、世界が泣いた!

感動と称賛の声は、海の向こうから上がり始め、またたく間に世界各国に広がっていった。第35回モントリオール世界映画祭の審査員特別グランプリ受賞を皮切りに、続く第16回釜山国際映画祭のクロージング作品となり、その後もシカゴ、ハワイ、インドと、さまざまな国際映画祭の出品作に名を連ねている『わが母の記』。昭和を生きた日本の家族の物語が、時代も国境も越えて、なぜこれほどまでに、現代に生きる人々の心を揺さぶり続けているのだろうか──。
小説家の伊上洪作は、幼少期に兄妹の中でひとりだけ両親と離れて育てられたことから、母に捨てられたという想いを抱きながら生きてきた。父が亡くなり、残された母の暮らしが問題となり、長男である伊上は、妻と琴子ら3人の娘たち、そして妹たちに支えられ、ずっと距離をおいてきた母・八重と向き合うことになる。老いて次第に失われてゆく母の記憶。その中で唯一消されることのなかった、真実。初めて母の口からこぼれ落ちる、伝えられなかった想いが、50年の時を超え、母と子をつないでゆく──。
家族だからこそ、言えないことがある。家族だからこそ、許せないことがある。それでも、いつかきっと想いは伝わる。ただ、愛し続けてさえいれば──。たとえ時代が変わり、社会が複雑になり、困難な未来が訪れても、家族の絆だけは変わらない。人と人との絆の大切さを知った今の時代にこそふさわしい、希望に満ちた普遍の愛の物語が、2012年ゴールデンウィーク、日本中を感動で包みます──。

昭和の文豪・井上靖の自伝的小説を、豪華キャストで描く親子の絆の物語

原作は、昭和を代表する文豪・井上靖が、自身の人生、家族との実話をもとに綴った自伝的小説「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」。『天平の甍』『敦煌』をはじめとする数々のベストセラーを生み出し、多くの作品が今現在もテレビ化・映画化されている、まさに国民的作家である。
 監督は、『突入せよ!あさま山荘事件』『クライマーズ・ハイ』などの社会派作品で高く評価されている原田眞人。主人公の伊上洪作に役所広司、母の八重に樹木希林、娘の琴子には宮﨑あおい他、日本を代表する実力派俳優たちの豪華競演が実現した。伊上家とその周りの人々を演じる出演者たちが、記憶を脱ぎ捨てていく八重への慈しみに満ちた眼差しを心を込めて演じることで、老いも死も人生の大切な一幕であることを教えてくれる。 撮影は、井上靖が家族とともに過ごした東京・世田谷区の自宅(撮影終了後、旭川へ移築中)で行われ、数々の名作が誕生した実際の書斎を使用、井上の面影をも写し取る。また、故郷である伊豆・湯ヶ島、そして軽井沢を舞台に山のふもとに広がるわさび田、海から臨む富士山など、ずっと残しておきたい日本の美しい風景を存分にきりとった。

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